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電車内でノートを持つ女性

未成年者を労働者として使用する際の基本ルール

電車内でノートを持つ女性

若い人を『労働者』として使用しようとした場合、いったい、子供、少年少女など低年齢層は雇うことができるのでしょうか。正確なルールを知っていますか?

児童・年少者・未成年者の使用制限

● 原則として、中学生以下の児童は労働者として使用することはできません。

● 年少者については、一定の場合以外は変形労働時間制を適用することはできません。

● 未成年者に不利な労働契約については、保護者・後見人・行政官庁は将来に向かって解除することができます。

 

児童
 満15歳になる年の年度末までの子、つまり留年などしていない中学生までを指します。

 

年少者
 18歳未満を指します。

 

未成年者
 20歳未満を指します。民法改正により令和4年4月1日以降は「20歳」が「18歳」になりました。

 

 

 つまり、未成年者 > 年少者 > 児童 の関係ですので、たとえば未成年者に対する規制は児童にも当然当てはまります。

 

労働者として使用できる児童

「原則として」ということは例外があるということですが、

たとえば、

演劇の子役や新聞少年など、健康・福祉に有害でなく軽易な労働などについては、親権者の同意書や学校長の証明書などを揃え、労働基準監督署長の許可を得た場合には労働者として使用可能です。

 

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児童が就労できる事業は限定的

13歳未満の児童
 映画や演劇に限定(子役など)

 

満13歳以上の児童
 非工業的業種に限定(新聞配達など)

 

児童が就労できる4条件

 児童就労には以下の4条件が必須です。

 

 ◆ 健康・福祉に有害でないこと

 ◆ 労働が軽易であること

 ◆ 修学時間外に使用すること

 ◆ 労働基準監督署長が許可すること

 

 

監督署長は、行政通達に基づき許可の判断をしますが、たとえば、ゴルフ場のキャディ業務については、「児童の健康及び福祉に有害ではなく」、「娯楽場における業務には当たらず」、「労働が軽易」と考えられるとして、通常は使用許可が行われます。

 

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児童を使用する事業場で備える証明書等

 修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書と親権者・後見人の同意書を事業場に備え付ける義務があります。

 

深夜労働(午後10時から午前5時まで)は、年少者について禁止されていますが、児童については、午後8時から午前5時までを深夜業の時間帯として使用禁止されています。

 ただ、厚生労働大臣は地域又は期間を限って、この時間帯を午後9時から午前6時までとすることができるとされており、実際に、平成16年11月12日付け告示第407号により、演劇の事業に使用される児童が演技業務に従事する場合に、当分の間、使用禁止とされる深夜業時間帯を午後9時から午前6時までとしました。

 これにより、子役として舞台出演している児童が、夜の部の幕が午後8時過ぎに下りたとしても、午後9時までにまだ時間があるなら、余裕をもってカーテンコールにこたえることができるというわけです。

 

子供をTVや雑誌にモデル出演させたい

 

年少者を使用する事業場で備える証明書

 年少者を労働者として使用する事業場には、年齢を証明する戸籍証明書(住民票記載事項証明書で可)を備え付ける義務があります。

 

年少者が就労する際の制約

 年少者については、以下の制約があることに注意しましょう。

 

年少者が就労する際の制約事項【労基法60条~63条】
 

◆36協定を締結しても、年少者には法定労働時間を超えた時間外労働や休日労働はさせられません。

 

◆1箇月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制は適用されません。

 

◆深夜労働(午後10時から午前5時まで)は禁止されます。

 

◆危険有害業務も就業制限されます(クレーン運転とか酒席に侍する業務など)。

 

◆坑内労働も禁止です。

 

まとめ

20歳未満の未成年、年少者、児童、と3区分ごとの規制があることに注意しましょう。

高校生や大学生をアルバイトとして使用することはよくあることではありませんか?

労働者として使用するからには労働基準法が適用されますので、未成年者の使用に当たっては最低基準を理解して対応する必要がありますね。

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